ジッポー。
2007年2月3日。ちょうど5年前の今日、私は「禁煙セラピー」の本を読み終え、まだ残っているタバコをシガレットケースごと躊躇する事なくゴミ箱に捨て、そして、長年使い込んですっかり手に馴染んだジッポーに、最後の別れの火を灯し、オイルの匂いを嗅ぐと同時にしばらく炎を見つめ、そっとその蓋を閉めた。そしてもう二度とそのジッポーが火を灯す事はなく、完全にオイルが切れたであろう時期を見計らい、少し躊躇しながらもゴミ箱へと捨てた。私は今、既にタバコに何の未練もなく、むしろ大嫌いになった訳だけれども、正直ジッポーライターは凄く大好きで、意味もなく手に持ち、無造作に「カチン!カチャン!」と片手で開け閉めしてる自分に100%酔っていて、「何故、今!?」とオイルが切れるとこっちまでブチ切れ、さらに何回やってもスポンジにオイルを染み込ませすぎて溢れて手が油まみれになって。でもそんなオイル臭い自分にもやっぱり100%酔ったりして。また時には別の人が持ってるジッポーの方がいい音なんか出したりすると、何だかとっても悔しくてこっそり嫉妬なんかしてみたりして。そう、正直ジッポーライターは凄く大好きで、ジッポーは今だって男のアイテムだと思っているし、だから今でも街でジッポーを持ってる人を見かけると、ついついそんな昔の自分を思い出し、あの大好きだった匂いを思い返しては、やっぱりどうして100%酔いしれるのであった。
(カトリツトム手記:オイルの匂いが目に沁みただけさ。より)